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本文

CHAPTER 19

1          The benefits which would flow from the existence of a global language are considerable; but several commentators have pointed to possible risks.  Perhaps a global language will cultivate an elite monolingual linguistic class, more complacent and dismissive in their attitudes toward other languages.  Perhaps those who have such a language at their disposal — and especially those who have it as a mother tongue — will be more able to think and work quickly in it, and to manipulate it to their own advantage at the expense of those who do not have it, thus maintaining in a linguistic guise the gap between rich and poor.  Perhaps the presence of a global language will make people lazy about learning other languages, or reduce their opportunities to do so.  Perhaps a global language will hasten the disappearance of minority languages, or — the ultimate threat — make all other languages unnecessary.“A person needs only one language to talk to someone else,”it is sometimes argued,“and once a world language is in place, other languages will simply die away.”Linked with all this is the unpleasant face of linguistic triumphalism — the danger that some people will celebrate one language’s success at the expense of others.

2          It is important to face up to these fears, and to recognize that they are widely held.  However, there is no shortage of mother-tongue English speakers who believe in an evolutionary view of language (“let the fittest survive, and if the fittest happens to be English, then so be it”) or who refer to the present global status of the language as a“happy accident.”There are many who think that all language learning is a waste of time.  And many more who see nothing wrong with the vision that a world with just one language in it would be a very good thing.  For some, such a world would be one of unity and peace, with all misunderstanding washed away — a widely expressed hope underlying the movements in support of a universal artificial language, such as Esperanto.  For others, such a world would be a desirable return to the “innocence” that must have been present among human beings in the days before the Tower of Babel.

3          It is difficult to deal with anxieties which are so speculative, or, in the absence of evidence, to determine whether anything can be done to reduce or eliminate them.  The last point, however, can be quite briefly dismissed: the use of a single language by a community is no guarantee of social harmony or mutual understanding, as has been repeatedly seen in world history; nor does the presence of more than one language within a community necessitate civil strife, as seen in several successful examples of peaceful multilingual coexistence.

訳文

CHAPTER19

 

全訳

1 1つの地球言語の存在がもたらす恩恵はかなり大きい。だが起こりうる危険を指摘する評論家もいる。ことによると,地球言語は,他の言語に対する態度がより自己満足的で尊大な,1カ国語を使う,言語のエリート階級を育てるかもしれない。ことによると,そのような言語を自由自在に操る人々,特に,それを母語とする人々は,その言語で迅速に考え,仕事をし,それを母語としない人々を犠牲にして,自らが有利になるようにその言語を巧みに操ることがよりうまくできるだろう。そしてそうすることで,言語の違いを装って貧富の差を維持するかもしれない。ことによると,地球言語が存在することによって,人々は他の言語を学習するのを怠けたり,あるいは,他の言語を学習する機会が少なくなったりするかもしれない。ことによると,地球言語(の存在)によって,少数派言語の消滅が早まったり,あるいは,最悪のおそれとして,他のすべての言語が不必要になったりするかもしれない。「他の誰かと話をするのに,人は1つの言語しか必要としない。そして,いったん世界言語が機能すると,他の言語は消滅するだけだろう」ということが論じられることもある。こうしたことすべてと結びついているのが,言語的勝利主義の不愉快な側面,つまり他の言語を犠牲にして1つの言語の成功を祝う人がいるという危険性である。

2 これらの懸念を認め,その懸念が広まっていることを認識するのは重要である。しかしながら,言語についての進化論的な見解,(つまり,「最も適したものが生き残り,そして,最も適したものがたまたま英語であるならば,それはそれでいい」という見解)を信じている英語母語話者,あるいは,今日における英語の世界的な地位を「幸運な偶然」と言う英語母語話者には事欠かない。言語学習はすべて時間の無駄であると考える人は多い。そして,1つの言語しか存在しない世界はとてもよいものであるという未来像に,何も悪いところはないと考える人々は,さらに多い。ある人々にとっては,そのような世界は,すべての誤解が消え去った(←洗い流された),1つの調和と平和の世界なのかもしれない。つまり,それは,エスペラント語のような世界共通の人工言語を支持する運動の根底にある,広く表明された願望である。またある人々にとっては,そのような世界は,バベルの塔よりも前の時代において人々の間に存在したに違いない「無垢」への望ましい回帰であろう。

3 ただの憶測にすぎない懸念を論じたり,証拠もないのにそれらの懸念を軽減したり,払拭したりするために何か手を打つことができるのかどうかを決定するのは難しい。しかしながら,最後の論点は,極めて簡潔に退けられうる。世界史上繰り返し見られてきたことであるが,ある社会がたった1つの言語を使用しているからといって,社会が調和しお互いに理解し合えるという保証はない。そしてまた,平和的に多言語が共存しているいくつかの成功例に見るように,ある社会の中に2つ以上の言語が存在することが内乱という結果を伴うわけでもないのだ。

 

要約

地球言語が存在することによって,他の言語が犠牲になり,社会的格差が存続する危険性がある。楽観視している人々が多いが,少なくとも,1つの言語のみを使う社会が必ず平和なものになるとは考えるべきではない。(101字)

 

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